うーん……。
そうかもしれないんだけど。
違う意図がありそうな気がする。
「アイツが自分の正体に気づく前にモノにして、傷つけて捨ててやろうとか思ってんじゃねぇの?だからあんなに執着してんだろ」
羽鳥が口にした直後。
教室の入り口で人影が揺れた。
「よくわかったねぇ?」
ドクンッ……。
誰かなんて、顔を上げなくたってその猫なで声でわかってしまう。
「盗み聞きか?」
「羽鳥先輩だってあの時、屋上の塔屋で盗み聞きしてたでしょ?」
皮肉をこめた口調。
それはついさっき羽鳥が話した中学の頃のことを言ってるんだ。
「全部聞いてたのかよ」
羽鳥はめんどくさいとばかりに、大袈裟なくらいのため息をつく。
そして美結ちゃんはクスクス笑いながら、教室の中へ踏み込んだ。
「美結ね、どうしても先輩が欲しいの」


