『次のターゲットは誰?』
『また人の彼氏にするんでしょ?奪ってばかり。ほんと好きだね』
たぶんこの頃からだった。
桜井の悪い噂が流れたのは。
カップルクラッシャーとまではいかないけど“嫌な女”だと連想させるには充分な噂ばかりだった。
『あのね、人のモノもよく見えるけど、みんなのモノはもっとよく見えるの。だから次は王子を狙う!美結は、王子が欲しい♪」
しばらく談笑して桜井達は去っていった。
『らしいぞ?冷血王子』
塔屋に寝そべる千秋は本で目元を隠したまま反応しない。
てめぇの話だってのに、無反応。
その次の日だった。
『千秋先輩が好きなんですぅ』
ウザいくれぇの猫なで声で千秋に告ってきた。
自信たっぷりで、見せ物みてぇに取り巻き引き連れて。
『オレ、人のモノじゃねぇよ?みんなのモノでもねぇんだけど?』
『……!』


