「どういうこと……?」
あたしが眉をひそめてそう聞くと、羽鳥は身体ごとこちらに向けてその時のことを話し始めた。
―――――――――……
オレらが中3で、桜井は1年。
あの頃はまだ、アイツと授業サボってよく屋上の塔屋に居たんだ。
『また振ったんだって?お前、どんだけ女泣かせてんだよ。つか、なんでそんなに冷血なんだよ』
『ヤり捨てする雅弥よりは、マシだと思うけど?』
どうでもいい会話ばかりしてた。
あの頃からアイツは冷血王子で何十人もの女を振って泣かしてた。
つくづく、ひでぇ男だと思う。
――ガチャン
屋上の塔屋で二人で寝そべってたら、桜井とその取り巻きが来たのが見えた。
当時の桜井は黒髪セミロングで、化粧なんかしてなくてガキって感じで、でもブスではなかった。
塔屋から見下ろしてるオレらに気づきもしないで話しだす桜井達。


