あたしの姿を横目でチラリと見たあと、羽鳥は自分の席に座った。
同じようにあたしも席に座り、机に映る夕陽のオレンジ色に目線を落としたまま口を結んだ。
「あの女、マジでアイツ狙ってんだな」
しばしの沈黙のあと羽鳥が言う。
美結ちゃんは本気だ。
本気でターゲットの千秋を手に入れたいんだってことは、もう充分すぎるくらいわかっていた。
「それにしても、しつけぇ女。中学の頃、こっぴどく振られてんのに、執着しすぎだろ」
「えっ?」
あたしは顔を上げた。
中学の頃に振られてる……?
目を丸くするあたしを見て、羽鳥は不適に笑う。
それはまるで何かを知っているように見えた。
「あの女さ、どっかで見たことあると思ったら、オレとバカ王子と同じ、篠ヶ原中なんだよ」
う、嘘……。
思いもよらない繋がりに、あたしは開いた口が塞がらなかった。


