「ビックリさせないでくださいよー。それより川村先輩、血相変えてどうしたんです?」
椅子に座ったまま、涼くんはヘラヘラと笑った。
変な形のピアスが揺れる。
わかってるクセにムカつく!
「な……なによコレ!どういうつもり?もう意地悪しないって言ったじゃない……」
あたしはシワだらけになった新聞を突きつけてやったのだ。
「クス……やっぱり、来ると思ったんだぁ」
「なっ!」
「まあまあ、そんなに怒ると可愛い顔が台無しだよぉ?」
と、皮肉をこめて言われた。
「酷いよ!よ、欲求不満とかあり得ないもん!」
「だって、王子とは付き合ってないでしょ?だから僕は、先輩がそうなんじゃないかなって」
あたしの抗議も虚しく、この悪魔はあっさり答えた。


