あたしは手を伸ばして千秋の身体を突っぱねる。
けれど全く手に力が入らなくて、千秋はあたしの身体から少しだけ離れる程度だった。
甘く疼き出した胸を鋭いベラドンナの爪で思い切り引き裂かれたみたいな、そんな痛みが走った。
「いきなりなんだよ」
けだるそうに言う千秋。
千秋は何も知らないというのに、あたしったらそんなことを口走ったりしてばかみたいだ。
ベッドに横になる体勢のまま、あたしは睫毛を伏せてスカートの裾をギュッと力一杯握りしめた。
その手が震えてしまった。
「あの女になにかされたのか?」
冷静な声で聞いてくる。
なんでもお見通しなんだ。
嘘はつけないってわかっている。
でも、フルフルと頭を振った。


