「だから美しい美結はアンタみたいなお粗末な顔見てると吐き気がするの。耐えられないんだよ」
笑いを含んだ声が余計に怖い。
そしてあたしの頬に爪を立てる。
心臓が弾けてしまいそうなくらい、あたしの鼓動は物凄い勢いで速まっていく。
毒が仕込まれた5枚の爪が頬に触れた。
ガクガクと膝が笑う。
唇の震えが止まらなかった。
「痛っ……」
美結ちゃんは爪先をたてると、あたしの頬に少しずつ少しずつ尖った爪を食い込ませていく。
頬には冷たくてキリキリとした痛みが走る。
「このままぐちゃぐちゃに潰したくなる。あまりにも酷い顔だから、いっそのこと壊れた方がいいんじゃない?」
目の前には、歪んだ笑み。
何をするかわからないような声に呼吸が乱れて、逃げたくても足が鉛のように重くて動かせない。
「こんな作りの悪い顔、美結は生まれて初めて見た。目に毒だわ」


