美結ちゃんに狙われたら終わり。
そういう意味なんだと思った。
「美結は男に必死な女が大嫌い。彼女を大切にしてますって顔をする男は壊してやりたくなるっ!」
狂気へと変わる大きな瞳。
狭い道に響き渡る冷淡な声。
初めて見た時のようなふわふわの笑顔は全てまやかしで、小悪魔の仮面をつけているんだと思う。
それくらいガラリと豹変する。
けれど、いったい何が美結ちゃんをこんなにも悪意に溢れた心にしてしまったんだろう。
「ベラドンナ、綺麗でしょう?」
淡々とした口調に戻る。
動揺を隠しきれないといったあたしの顔が、その瞳に映りこんだ。
それくらい美結ちゃんは近くに居た。
「“悪魔が愛した花”とも言われてるんだよ?」
怖い……。
心が乱されてしまう。
狂気に満ちた瞳が夕陽で赤く染まっていて、あまりの恐怖にあたしは目を伏せてしまった。


