「ベラドンナは、イタリア語で、“美しい女性”っていう意味なんだよ?美結にピッタリでしょ?」
爪を見て小さく笑う。
何が言いたいのかまるでわからない。
「この実は甘いって言われてるんだけど、猛毒を含んでいるから絶対に食べちゃダメなんだよ?」
甘い実なのに猛毒を含んでいるなんて、美結ちゃんのようだ……。
食すと、毒に侵されてゆく。
綺麗な花には毒がある。
「花言葉は“汝(なんじ)を呪う”古い言い方で、おまえっていう意味。それと“人を騙す者の魅力”」
恐ろしい……。
自分にピッタリだと言ったけど、花言葉さえも当てはまっている。
「それからもう一つ……」
ギョロリと瞳が動いた。
あたしを真っ直ぐに見つめる。
思わず息を飲んだ直後――。
「“男への死の贈り物”」
ニヤリと、唇を大きく広げた。
すぐ目の前に歪んだ笑みが迫る。


