き、来てしまった……。
放課後になりあたしはやっぱり謝ろうと千秋の家まであと数メートルというとこまで来てしまった。
手にさげている紙袋の中には、さっき作ったワッフルが入ってる。
別にあげるつもりじゃないけど、作りすぎちゃったから持って帰ってきただけなんだ。
だけど、いざ来ると何故か緊張してしまって、ためらってしまう。
でも昨日の千秋の優しい顔が瞼に浮かんで、逢いたい気持ちが募って身体中に溶けこんでいく……。
風が少し冷たい4月の夕暮れ。
よしっ……!
あたしは鞄を肩にかけ直して、ちょっと目線を落としたまま歩き出した。
その時、視界の隅で人影が揺れて、ふと顔を上げる。
風に吹かれるハチミツ色の髪の毛が真っ先に飛びこんできた。
「せんぱぁい、何してるのぉ?」
目を細めて笑う美結ちゃん。
……息が止まりそうになった。


