「なあ、一個くれよ」
「や…やだよ!羽鳥は意地悪だからあげないもんっ」
「食い意地はってんな、シイは」
ムキキキキ――!
食い意地なんてはってないもん。
羽鳥が作ったのはまる焦げで、せっかくのいい匂いも台無しだよ。
「ソレ、王子にあげるの?」
はーちゃんが耳打ちしてきた。
「え……!?あげないよぉ……。あたしが自分で食べるんだもん」
「ふーん。でも、謝りに行こうって思ってるんでしょー?」
うっ……。
はーちゃんには何でもお見通しなんだね。
「ねぇ、はーちゃんは佐久間くんにあげるの?」
「だ……誰があんなメガネ男にあげるのよっ!あたしは、全部自分で食べるのよっ!文句ある!?」
うわわわわわっ。
はーちゃんってばわかりやすい。
さくらんぼみたいに真っ赤か。
佐久間くんとのこと、今度聞いてみようかな……?


