「へ、変なこと言わないでよね!羽鳥のバカ!バカバカ……!」


あたしは精一杯、腕を伸ばして羽鳥の胸板をポカポカ叩いた。

だけど……。


パシッと腕を掴まれて、あたしの攻撃は簡単に阻止されてしまう。



「バカはお前だ」

「ムゥッ……」

「オレは、シイが朝からずっと元気ねぇから慰めてやるって言ったんだけど。“そっち”の意味じゃねぇよ?」


フンっと鼻で笑う羽鳥。

ウェーブの髪が揺れる。


そっちってまさか……。

ぎゃあああーっ!

羽鳥のアホ!バカ!

なに考えてんのよぉ!



「そういう意味で言っ……」

「シイのエッチ」

「なっ……!」


もう目が回りそう。

プイッと顔を逸らすあたしは、自分でも可愛くないなぁと心底思った。