【続】俺様王子と秘密の時間



あたしは膝の上で手を握りこむと、何故か姿勢を正してしまった。

まるでこれからお説教をされる人みたいだ。



「あの子がカップルクラッシャーって影で呼ばれてるのは、ただの噂話なんかじゃないよ」


うん……。

そうだろうと思う。


涼くんは向かい合うあたしに顔だけをツイっと寄せて声を落とす。

ピストルの形をした小さなピアスが揺れる。



「人の男を奪うからだよ」

「えっ」


そこで思わず声が出てしまった。

人の男を奪うから……?



「あの子はね、友達、親友、先輩、後輩、誰かれ構わずに人の男を奪うんだ。今まで数えきれないくらいのカップルを砕いてきた」


破砕機、粉砕機のように。

粉々に砕いて、散らす。


例え自分の親友だろうと構わず、美結ちゃんは人の彼氏を奪うの?

傷つくのは、自分の親友なのに?