「美結ね、アンタのこと監視してたんだよ?」
薄ら笑いを浮かべる美結ちゃん。
ドクンっと大きく鼓動が波うつ。
「ココに入ってくの見たの」
監視してたなんて……。
ザワッと鳥肌がたつ。
こないだ見た嫌な夢のことが頭をかすめる。
夢で見た巨大な黒い影。
逃げても逃げても迫りくる夢は、このことを暗示していたの……?
もう年下とか関係なくほんとに怖いと思った。
「千秋先輩?こんな凡人なんて相手にしちゃダメですよ?千秋先輩の価値が下がっちゃうんだから」
ベッドの上で半分起き上がった状態のあたしを見て、美結ちゃんは小馬鹿にしたように笑う。
チクリ……と棘が突き刺さったみたいに胸が痛んだ。
恥ずかしさと悔しさが入り交ざったような感情がこみあげてくる。
あたしに股がる千秋はポーカーフェイスを崩すことなく、驚きもせずにゆっくりと身体を起こした。


