緑の魔法使い

「おはようございます」

更にドアを開けて家の奥へと声をかければ

「おはよう凪君。電話で話していたアルバイトさんって・・・」

「桐野鼓都さん。うちに今来てる人」

「そうか。大変だね?」

言って振り向いたのは髪を短く切り揃えた元気溌剌、笑顔の素敵なまだ若い女性だった。

「初めまして。加藤動物病院の院長の加藤凛です。よろしくね」

あっけらかんとした笑顔で笑うも手には豚足を握りしめていて、そっちの方に目が行ってばかりだ。

「桐野鼓都です。本日はわがままを言って申し訳ありません」

「良いのよ。患畜さんは滅多に来ないから暇だけど、かわいいお手伝いさんは大歓迎します」

豚足も気になるけど、もうひとつの手にはそれを切っていた包丁があり、羽鳥も吃驚な様子に橘君が咳払いをする。

「それよりも凛さん。それ、物騒なんだけど・・・」

思い出したように両手の豚足と包丁を持ち上げ、途端に顔を真っ赤に染めて

「やだっ!ごめんなさい!!」

言ってお尻でドア開けてそのまま奥へと消えて行ってしまった。