早朝にあんな事があったから朝ごはんの席では酷く静かだった。
誰も声を発そうとせず、視線を合わせず、ただ食器の音がなるだけで、何か聞きたげな羽鳥の視線をあえて無視をし続けた。
だけどこの沈黙を打ち破ったのは橘君。

「後で凛さんに電話入れるけど、大丈夫?」

ふっておいて大丈夫は無いだろうと毒づくも、アルバイトを希望したのは私だ。
既に終わった恋にいつまでも振り回されるのもバカバカしく

「大丈夫。今日はとても調子良いの。いけるわ」

体は大丈夫なはずなのに、肌が妙に白っぽいのが気になる。
だけど、橘君と一緒に居れば大丈夫だろうと判断して、アルバイトに否定的な羽鳥の視線を無視して食事を終えた。