甘い物が大好きなのを知っている綾瀬川や羽鳥が説得してくれたのは知っている。
気を使われているのは判るけど・・・

「なんか、気持ち悪い」

くずきりにたっぷりと黒蜜をかけ、更に粒餡と缶詰の果物が飾るおやつを食べてお茶を飲み終えた頃妙に頭がぼんやりとしてきた。
次第に胃がむかむかするわけじゃないけどスッキリしなくて、息をするのが苦しい。

「そろそろ熱が出てきたかな?」

橘君の手が私の額に手が伸び、そして少し顔をゆがめる。
これは想定のうちなはずなのに、どうして橘君がそんな苦しそうな顔をするのだと思うも、台所に下がった彼は、小さな黒い液体を持って来た。
小さなお猪口と言ってもいいくらいの小さな器に透明度のない黒の液体。
何処かどろりとしていて、臭いも何もない。
これも薬のうちだろうかと思うも、今まで出された薬の中で一番異質な物だった。