それをちらりと確認してから台所の棚から薬瓶を取り出し、テーブルに並べながら「どうぞ」と勧める。
「治療方法ですが、もうちょっと他の方法は無いのでしょうか」
「その意見には賛成です。17歳の女の子にさせるような治療方法じゃないですよ」
治療のたんびにあんなにも大泣きされたら周りがどれだけ迷惑するのか、おまけに後日、この治療方法を旦那様へと報告するのにどういえばいいのかと悩まされるも
「俺だって他の治療方法があればすぐにでも変えてあげたいよ」
秤で1グラム単位の狂いも許さないというように薬瓶の中身を取り分けながら、煮沸した空き瓶の中に混ぜていく。
「そんなにも酷いのですか?」
生まれた頃よりお世話をしている綾瀬川さんは驚きを隠せないでいる。
「あんたたち鼓都さんの体見たことあるか?」
「腕や足ぐらいしか・・・」
普通はねえよなんて突っ込むも
「上半身は普段から気をつけているみたいだけど、下半身が最悪だ。ステロイド系の薬を貰ったって言ってたよな?たぶんだけどお嬢さん隠れて使ってたみたいで、陰部がケロイド状態だ」
ぎょっとしたのは綾瀬川さんだけじゃなかった。
「随分我慢してたようだけど、あの様子じゃトイレの度に苦しかったんじゃないの?」
一体どうなってるのかと想像するも、思考が追いつかない。
「本当ならクリーム状の薬を塗って湿布したいんだけど、皮膚がもたない。薬を塗れば皮膚が裂ける様じゃ、体が耐えれない」
何処か疲れたように言う口調に、綾瀬川さんがふらふらと椅子に座り込んでしまった。
「今晩から明日が一番大変かもしれないけど、とりあえず少しずつ鼓都さんの体は改善されているから、希望は捨てないで治療に励みましょう」
言ってボトルの栓をし、シャカシャカと瓶の中身を混ぜた。