緑の魔法使い

「今日も質素ですのね」
「体質改善の為に動物性たんぱく質は一切絶ってもらいます」
「分っています。薬の効力をより引き出すための食事療法だというのは判っていますが・・・」
じろりと自分以外の皿を見て気持ち涙ぐむ。
「隣でハムやベーコンを食べるのを見せ付けられる気持ちわかりまして?!」
「病人では無い俺達には動物性たんぱく質も必須です。代わりに植物性たんぱく質で補ってください」
豆乳で作った寒天を差し出せば、文句言いながらもしっかりと全部食した。
「ごちそうさま」
さすがに食べたい物を食べたいだけ育ったお嬢様にはこの治療の一環は一番辛く、最後に締めといわんばかりに飲む病気じゃなければ絶対臭いも嗅ぎたくない薬を一息に飲まなくてはいけないサマは、何処か寂しい物があった。

「じゃあ、今日からは薬をひとつ追加します」

鼓都さんの眉が神経質にぴんと跳ね上がった。