緑の魔法使い

「・・・毒、だなんて」
呆然と立ちすくむ三人に、
「とりあえず家の人に電話して一週間ほどここに滞在するように連絡をして。
 あと、引っ越してから雇った人の身辺調査を再度してもらうように。
 そしてお嬢さんは・・・」
「桐野鼓都です。鼓都と呼んでくださって結構」
「鼓都さんはこれから一週間俺の出す者以外口にしないように。既に命にかかわる段階まで来てます。約束してください」
命、とまで言えば薄暗い風呂場の彼女は顔を青ざめているのは水を浴びているからだというせいにしたい。

「遅れましたが、改めて挨拶をいたします。
 蒼河家当主の凪と申します。諸事情がありまして橘凪と名乗っておりますのでどうぞ、蒼河の名は口に出さないようにお約束下さい。
そして、これからの治療に付いては他言無用にお願いします」

正座をして床に頭を擦るくらい深く頭を下げる。

「・・・こちらこそお願いします」

鼓都さんは安心したのか、何処か涙声で、風呂場のドアを閉めたあとはもうよくわからなかった。