「まぁ、頼むわ」
言って、トラックに乗り込んで山を降りて行った啓太さんを見送って、家の中へと貰った大量の野菜を運んだ。
仏前にブドウを供え、幾つかを口へと運びながら家の裏から山へと入る。
澄んだ空気を吸い込めば目的の匂いを嗅ぎ分ける。
そのまま足を運べば芍薬を見つけた。
一重でも華やかな花の季節は終わり、葉っぱを広げた姿が広がっていた。
母のその前より何代も続いて育てられた芍薬を何本か根こそぎ掘り出す。
芍薬の根は乾燥させて使うのだが、今回はあと何種類かの薬湯とすり潰して直接塗る方法をとる。
今の状態なら当日皆を見送ってから取りに来ても大丈夫だなとあと数種類の薬草を摘んで薬草畑を後にして、今回掘った物は山水で丁寧にあらい、夏の日差しの下で風通しよく乾燥させる事にした。
俺の家は代々薬草を使い薬を作る家業を営んでいた。
母も、そのまた母も薬草を育て、数百年続く独自の薬を作り続けているのだ。
現代では当然法にも触れるが、お金を取る事無く、民間療法と名を変えて独自の責任で使ってもらっている。
この村の年寄りの人たちは今でもお得意様だったが、さすがに今時世代の人たちには広まっていない。
それでいいんだけどね。
なんせ精製方法は科学的な確証もない親が子供に作り方を教えるような伝承方法なのだ。母さんと俺の間に至っては書き残したノートだけが唯一の方法だったが、義父がこの家を山を取り戻して以来、再び薬を求めてやってくる村人の方たちに薬を与えればその効果には俺も驚かされるところがあった。
なので最低でも月に一度はこうやってこの家に戻り、怪しげな民間療法で村の人の医者を努めていた。
なんせ、過疎化の進んだこの村には獣医は居ても医者がいないのだから。
遠い病院より近くの薬屋のほうに足を運ぶのは無理もない話だ。
言って、トラックに乗り込んで山を降りて行った啓太さんを見送って、家の中へと貰った大量の野菜を運んだ。
仏前にブドウを供え、幾つかを口へと運びながら家の裏から山へと入る。
澄んだ空気を吸い込めば目的の匂いを嗅ぎ分ける。
そのまま足を運べば芍薬を見つけた。
一重でも華やかな花の季節は終わり、葉っぱを広げた姿が広がっていた。
母のその前より何代も続いて育てられた芍薬を何本か根こそぎ掘り出す。
芍薬の根は乾燥させて使うのだが、今回はあと何種類かの薬湯とすり潰して直接塗る方法をとる。
今の状態なら当日皆を見送ってから取りに来ても大丈夫だなとあと数種類の薬草を摘んで薬草畑を後にして、今回掘った物は山水で丁寧にあらい、夏の日差しの下で風通しよく乾燥させる事にした。
俺の家は代々薬草を使い薬を作る家業を営んでいた。
母も、そのまた母も薬草を育て、数百年続く独自の薬を作り続けているのだ。
現代では当然法にも触れるが、お金を取る事無く、民間療法と名を変えて独自の責任で使ってもらっている。
この村の年寄りの人たちは今でもお得意様だったが、さすがに今時世代の人たちには広まっていない。
それでいいんだけどね。
なんせ精製方法は科学的な確証もない親が子供に作り方を教えるような伝承方法なのだ。母さんと俺の間に至っては書き残したノートだけが唯一の方法だったが、義父がこの家を山を取り戻して以来、再び薬を求めてやってくる村人の方たちに薬を与えればその効果には俺も驚かされるところがあった。
なので最低でも月に一度はこうやってこの家に戻り、怪しげな民間療法で村の人の医者を努めていた。
なんせ、過疎化の進んだこの村には獣医は居ても医者がいないのだから。
遠い病院より近くの薬屋のほうに足を運ぶのは無理もない話だ。



