「見つけた、黒蠡浸(コクリシン)」
悲しみにくれて、電気もついていない部屋でおじいちゃんと過ごした日々を思い返し、明日には孤児院に戻らねばならないもどかしさに半分自暴自棄になっていると、
ふと声がして伏せていた顔を上げる、すると暗闇の中でも輝きを放つ見たこともないような美しい銀の長髪の美少年が私に手を差し伸べていた。
「神だ、白羲楼(ハクギロウ)に対抗できる唯一つの存在。」
横でもう1人同じく美しい銀髪の男性が口を開く。
「お手を♪」
ぼやぼやしていると、もう一度手を差し出し直し、美少年が微笑む
「何?」
訳が分からず、手をのせるべきなのか迷う。
しかし、いくら彼らに疑問を投げ掛けようと返ってくるのは
「お手を♪」
という言葉と微笑みだけ…
そんな彼らに嫌気が差して………否、希望の光だったのかもしれないその手を掴むと何か変わる?心の穴埋めてくれる?そんな淡い期待を抱き、私は差し伸べられた手に自分の手を重ねた
「契約完了…♪」
ケイヤクカンリョウ、何も契約などしていないわと思いつつ、薄れる意識を察し瞳を閉じ、ただただ彼らに身を預けるのだった
フッ
最後に感じた事は身体が浮いた事。
…………?
どれくらい眠っていたのだろうか、気持ちばかりふわふわしている。
「ん?何処…此処…」


