「紅葉…」


「将軍様!」


ふと、何日か前からか、
そう。桜色のかんざしをつけてから
紅葉は心なしか元気な気がする。


私はそれが嬉しいのだが。


「そのかんざし…よう似合っている。
 どうだ、庭を散歩しないか?」


「はい。」


「最近、いいことでもあったのか?」


「いえ、普段どおりでございます。」


「そうか…
 その、以前は…申し訳なかった。」


「…このかんざし、買う時に栄蔵さん
 にお会いいたしました。」


「栄蔵に?」

心臓がドクン、と動いた。