「あら、音水ちゃん!遅かったじゃない!!

心配したのよ??」



「遅くなってごめんなさい、菫さん。」



この黒いエプロンを着た女性が來のお母さんの菫さん。

背が高くてスレンダー、長い髪を無造作にひとつにまとめたその姿は、
まさにカッコイイ女性。
私の憧れだ。



「何かあったわけじゃなければいいのよ。
でも心配でさっき帰ってきた來軌を探しに行かせたの。
心配してるだろうから電話してやって?」


「はい、・・・あっ!すみません、電話借りてもいいですか?
携帯解約してしまっていて・・・・。」


「道理で電話しても繋がらない訳ね・・・。
どうぞ、いくらでも使って~。」


「ありがとうございます。」



菫さんに一礼してお家に上がる。

慣れた足取りで電話機の前に立つと來に電話をかけた。