藤堂類が口を開きかけた。 それを見て全身が震えだし、もう一度唇を噛み締めて言葉を待った。 「申し訳ありませんが、よろしいでしょうか?」 声はヤツからではなく、車の運転席から発せられた。 「西條、どうした?」 言葉を発したのは紛れなく運転中の西條さんで、 藤堂類は今までの事がなんでもなかったかのように前を向いた。 自分から目を逸らされ安堵した。 時間にしてみればものの5分程度なのだが、とてつもなく長い時間に感じていたから。