「でも、返済する手立てなんて“ひとつも”ないだろう?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『“ひとつも”ないだろう』
さらりと言った、パパの言葉が頭の中に何度も響き渡る。
「そうよねぇ」
左頬に手を当てて首をかしげるママの仕草に、
本当に困っているのか、真意がわからない。
黒くモヤモヤしたものが、体全体から溢れ出ているのではないかという錯覚に陥る。
「わかった、…もういい」
それだけ言うと、私はリビングを出て自分の2階の部屋へ向かった。
両親は一瞬、何がなにやらわからないという表情を見せた。
しかしすぐに、私が結婚を了承したものと理解したらしく、
私の背中の向こうで手を取り合って喜んでいた。
