1億の☆



「でも、返済する手立てなんて“ひとつも”ないだろう?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






『“ひとつも”ないだろう』



さらりと言った、パパの言葉が頭の中に何度も響き渡る。



「そうよねぇ」


左頬に手を当てて首をかしげるママの仕草に、
本当に困っているのか、真意がわからない。





黒くモヤモヤしたものが、体全体から溢れ出ているのではないかという錯覚に陥る。






「わかった、…もういい」



それだけ言うと、私はリビングを出て自分の2階の部屋へ向かった。





両親は一瞬、何がなにやらわからないという表情を見せた。

しかしすぐに、私が結婚を了承したものと理解したらしく、
私の背中の向こうで手を取り合って喜んでいた。