「どうしようもないって、わかってたから…」
“迷惑かけたくなくて。”
――…それが、本心なのだろう。
ブロードは最後まで言わなかったが、彼の性格から察したキィルは更に顔をしかめた。
「どうしようもないと言い切れるのか?」
「…………………。」
「確かにまだ、私は掴めていない。けれど今も、探している」
「わ、かってます」
そう返しながらギュ、と軍服の裾を握りしめたブロードに、キィルは少し言い過ぎたかと反省した。
一方話を聞くだけだったアサギは、心の中で首を傾げる。
探しているやら掴めていないやら、一体何の話だ。
今は、ブロードの目の話をしているのに。
「…この話はまた今度ゆっくりしよう」
アサギの表情に気付いたキィルは、そう言うと息子の傍まで歩いていった。
ぐい、と俯いていた頭を上げさせて、その顔を覗き込む。
「額の傷は平気か?災難だったな」
「だ、いじょうぶ…」
「…嘘をつけ。何て顔をしているんだ」
「だ、だって…」
優しく自分の頭を撫でる手に、申し訳なさが込み上げてくる。
同時に、――…恐怖も。


