「許しませんよおおおお!」
そんな叫びと共に、ドレスに隠れていた脚が勢いよく突き出された。
ゴオオ、とうなりをあげて迫ってくるそれをクリスは間一髪で避ける。
彼がしゃがんだためにそれにつられる形で倒れ込んだリシアとシエラの頭上を、ヒュッとその脚が通り抜けた。
「ひいいいい!?」
「あら、ごめんあそばせ」
ほほ、と優雅に笑うそのおばあさんは、脚を降ろすと悲鳴をあげたリシアに謝る。
謝りながら、今度は拳をクリスに突き出した。
「わ、ばあちゃっ、ストップ!」
「なぁーにがストップですかこの馬鹿孫!仕事しろやあああ!」
「…してる!してるから!」
ヒュッヒュッと目にも止まらぬ速さで繰り出される手や足。
それをどれもすれすれで避けるクリス。
予想外の展開に、早々と彼を切り捨て避難していたリシアとシエラは顔を見合わせた。
「話には聞いてたけどぉ…」
「凄いですね。ミノリさん」
そう二人が言えば、ピタリと止む攻撃の嵐。
ゼェゼェ言いながら床に倒れたクリスを放置し、彼の祖母──ミノリ=フィーリスは、お団子にした髪を整えながら振り返った。


