またゆっくり歩き出した蒼。
その背に揺られながら、ユノは目を伏せた。
…自分もいつか、アサギと同じように彼に近付けたら。
そう思いながら、ふと思い出して顔を上げる。
「ブロードさん」
「ん?今度は何?下ろさないよ」
「どうして言ってくれなかったんですか」
予想とは違う背中の部下の発言に、ブロードは余分に瞬いた。
それから何となく話が読めて、薄く微笑みながら問い返す。
「目のこと?」
「はい」
答えるユノの腕に、少し力が入った。
彼女に見えないように正面を向いて苦笑しながら、ブロードはゆっくり紡ぐ。
「ユノが来る前からだよ」
「……………………。」
「…それに、怖くて言えなかった」
急に少し沈んだ声。
ユノは驚き、そして思い出した。
炭田の中でも、怖くて確認していなかったと彼が言っていたことを。
「情けないけど。…目が見えなくなってるっていう現実を、中々受け入れられなかった」
「……………………。」
「気付いたときには手遅れでさ。でも、言ったら軍にいれないんじゃないかって…そんな訳ないのにね」


