「よかった。これで帰れるね」
ふっと微笑んで、彼は囁いた。
レイツ達大丈夫かな、などと言いながら歩き出した彼にしがみつき、ユノは真っ赤になる。
(わああああああ)
近い近い近い。
足の怪我の前に心臓が悪くなりそうだ。
しかも恥ずかしい。
彼の言うレイツなんかに見つかったら、絶対に一生ネタにされる。
さすがにそれはいただけない。
「ぶ、ブロードさん」
「んー?」
「やっぱり…」
「だめ」
言う前に遮られた。
肩を揺らす彼はきっと笑っているのだろう、この天然タラシめ。
諦めたユノは溜め息をつく。
別にちょっと嬉しいだなんて思ってない、…本当は凄く嬉しいが。
上司は不安定な足元に集中しているらしく、無言で進んでいく。
たまに危なっかしく揺れるもんだから、その度にユノは彼の首に回した腕に苦しくない程度に力をこめ、毎回毎回真っ赤になった。
そして、ある程度歩いたところで。
「!」
前方から慌ただしい音が聞こえ、地面とにらめっこしていたブロードがはっと顔を上げる。
見ると、アサギが走ってきていた。


