「貴方だって怪我してるじゃないですか」
「俺のは軽いよ。だいじょーぶ」
ひらひらと手を振り笑う彼だが、やはりいつもとは違った。
些か元気のない彼に、ユノは今度は眉を下げる。
「ブロードさん…」
「ん?どっか痛いの?」
「……、いえ」
“大丈夫ですか?”
そう訊ねようとして、やめた。
…大丈夫な訳がない。
第一、自分は何も知らない。
それなのにそんなことを言ったって、流されるのがオチだ。
…アサギらへんなら、違うかもしれないが。
「よし、とりあえず戻ろう。もう戦いも終わったみたいだ」
確かに外の喧騒ももう聞こえない。
味方軍は砲撃に苦戦していたが、それがなくなって一気にカタが着いたのだろう。
上司の言葉に頷いたユノは立ち上がろうとする。
が、その前にブロードにひょいと担がれ、そのまま背負われた。
「!? え、ぶぶぶブロードさん!?」
「うん?」
「お、下ろしてください!自分で歩けますっ」
「だーめ、悪化しちゃ大変だから」
聞く耳持たずとはまさにこのこと。
ブロードはユノを背負ったまま階段を降り、建物から出る。
やはり勝負はついていた。
向こうの方で群青色の集団が肩を組んで喜んでいる。


