やっぱりまだ片目だと駄目らしい。
普段はない彼の失態に、ユノは眉を潜めた。
「君が強くなってる間に、俺も強くなってるのに」
もう敵はいない。
ユノが全て倒してしまった。
呟いたブロードはダンテの手から離れた形見だという剣を拾い、彼の傍に突き刺す。
「……生きて、強くなって、また来てよ」
そう溢した蒼き獣の声は、届いているのかどうか。
少し切なさを含んだ声色に、ユノは息を詰める。
(……………そっか)
彼も、かつては敵を殺していたのか。
そしてそれがどんなことなのかを学び、今は気絶させるに留まっている。
自分を本気で殺めようとしている敵でさえ、生かして。
──…そして、もう一つ。
(………12歳…)
そんな幼い子供が、軍に入っていたという事実。
一体彼は、いつから、どのようにして軍人となったのだろうか。
「ユノ、大丈夫?」
気絶した敵を一纏めに縛ったブロード。
これでもう砲撃台が敵に使用されることはない。
見事二人で砲撃台を落としたが、ユノは足に怪我を負っているしブロードも腕に赤い筋を作ってしまった。
自分を心配する上司を見上げ、ユノはしかめっ面してみせる。


