「…おい、待てよ。いつから…!?お前そんな大事なこと…!」
「大分前から。それはいいから、ユノ早く」
「あ、は、はい」
固まっていたユノは、声をかけられ慌てて彼に近づいた。
タオルに目線を落とし、反応しない蒼い瞳を見てから、ギュッと白い柔らかいそれを握り締める。
「痛くても我慢してくださいね」
「えー、あんまり乱暴にしないでよ」
ふざけた物言いの上司に何だか複雑な気分になる。
しかしそんな表情も今彼には見えていないのだ。
赤く染まっていくタオルを見ながら、ユノは悔しくなって唇を噛んだ。
(…どうして言ってくれなかったの)
どうして。
どうして、
──…気付かなかったの、私。
「…終わりました」
「ん、…ほんとだ。ありがと、ユノ」
消毒もして、額の切り傷にガーゼと包帯も宛てて。
全部終わってから、ユノはブロードに言った。
左目を開けた本人は、嬉しそうに笑って礼を言う。
「包帯似合う?」
「馬鹿言わないで下さい。アサギさん」
「あぁ。出てもらおうと思ってたけど…無理だな」
こちらも複雑そうに部下を見て、大きく溜め息をついた。
そんな上司を見上げ、ブロードは首を傾げる。


