ブルービースト


「何でコイツらが倒れてる?」



そう言ってアサギが顎で示してみせたのは、少し先に伏せる二つの影。


よく見てみれば、それは先程いなくなっていたラルフとダグラスだ。


ブロードにばかり気がいっていたユノは、本来ならば戦場にいる筈の二人の存在に驚いた。



一方、質問されたブロードの方は悔しそうに表情を歪めアサギの疑問に答える。



「そこの二人に…」


「襲われたのか?」


「…はい」



その返答にアサギは更に表情を険しくした。


ユノは目を丸くする。



何故、味方の筈の彼らが?




「……コイツらのことは後でだ。とりあえずお前のそれをどうにかしないとな」



早く拭え、優しくそう言ってアサギもブロードの傍にしゃがんだ。


俯いたままのブロードは、上司の言葉に「うーん」と唸ると溜め息をつく。



「ユノ、タオル」


「え、あの、さっきからここに…」


「直接渡して」



きっぱりと補佐の言葉を遮り、ブロードは閉じた左目から手を離しそのままその手を前に出した。


きょとんとしたユノは、訳のわからない上司の行動を不審に思う。




「あの、ブロードさん」


「なに?早く」



…イライラした声。


けれどまだ、俯いたまま。



普通なら、普段の彼なら、顔を上げてこっちをちゃんと見てくれるのに。