痛いのは一瞬。
頬がヒリヒリするだけ、
──…それだけなのに。
「何してるの」
ラルフの手が振り下ろされ、ユノの頬に届く直前。
聞こえたその声に、ユノは震えるほど安心してしまった。
「た、隊長…」
「あ?誰だ…、!」
ダグラスが慌てて制止する。
苛立たしげに振り向いたラルフは、視界に捉えた人物に目を見開いた。
「ち、中将…」
「何してるの」
再度同じ言葉を繰り返したブロードは、こちらを冷たい目で見ていた。
蒼い瞳が氷のように鋭い。
レイツが駆けていき、「はいはい終わりー」とユノとラルフを引き剥がした。
「レイツさん…」
「大丈夫か、ユノちゃん」
微笑みかけてくれたレイツにまた安心。
ユノが解放されたのを確認すると、ブロードはにっこり笑顔を浮かべた。
「何してたの」
「いえ、別に…」
「俺の大事な隊員ちゃんに手あげようとしてなかった?」
「…、すみません」
素晴らしい笑顔を浮かべながらも目が笑っていない。
そんな中将にラルフは諦めて謝った。
二度としないでね、と釘をさしたブロードは、ユノとレイツを呼びその場から去る。


