ブルービースト


「あ…お邪魔してすみません」



元上司たちと三人だけ。


これはこれで気まずい。



ユノはそれだけ言うと踵を返し来た道を戻ろうとした。


しかし腕を掴まれ、断念せざるを得なくなる。



「な、何ですか」


「ちょっと待て」



元々第三部隊にいたユノはラルフの性格を知っている。


冷酷無慈悲な殺人鬼。

ユノに殺しを教えたのもこの人なのだ。


だからこそ何となく危険を察知したユノは、腕を引いて彼から距離を取ろうとした。


しかしやはり男と女、あっさり逆に引っ張られ思いとは裏腹に近付くことに。



「お前変わったな」


「…だから、何ですか?」



腕は掴まれたまま、ラルフに上から下までジロジロ見られる。


不快感極まりないユノは、殴りたい衝動を抑えかわりに彼を睨んでやった。


そんな彼女にラルフはにやりと笑む。



「随分第一部隊の隊長さまに大事にされてる」


「あの人は隊員みんなにそうです」


「なるほど…」



何がなるほどなのかはわからないが、頷いたラルフはユノにずいと顔を近付けた。


過去に経験したことのあるそれにユノはしかめっ面する。



これはラルフが、説教モードになる合図だ。