「おいブロード、」
「もうヘーキです。感覚は取り戻しましたから」
血がついた剣の手入れをしながら言う中将。
ユノは彼を見つめ、それからセリナがお茶と一緒に出してくれたお手拭きを持つと駆け寄った。
「ブロードさん」
「ん?どしたのユノ」
「返り血、髪と顔についてます」
「え、うわ、ほんとだ」
触った頬にはべったりした感触。
補佐が差し出すそれを受け取り、ブロードは赤を丁寧に拭き取った。
その隙にユノは彼の隣に腰を下ろす。
実はクライドから逃げたかったからということは秘密だ。
「ありがとユノ」
「いいえ」
ちょこっと微笑んだユノに、アサギは怒りも忘れ唖然とした。
(………何だこの熟年夫婦)
しかし彼は気付く。
ユノがブロードが自分から目を逸らした途端、鋭い目付きで彼を観察しだしたことに。
きっと自分が言ったことの原因を探しているのだろう。
それを見たアサギも表情を引き締める。
そうして未だ武器の手入れをしている部下に、命令するべく声をかけた。
「…ブロード」
「はいはい?」
「はいは一回!ったく…」


