「……ちょ、ちょっと待って!」
「失礼しまーす」
慌てるユノを他所にブロードは躊躇いなく扉を開く。
ガラ、と嫌に大きく音が響き、上司の腕を掴んだユノは反射的に部屋の中を見てしまった。
そして、
──…目が会う。
「連れてきましたよ」
立ち尽くす部下を放置し、ブロードは“彼女”に言う。
ベッドの上で上半身を起こすその人は、じっとユノを見つめた。
その唇が、動く。
「…………ユノ」
「……………………。」
「ユノ…。ああ、よかった…。久しぶりね、ユノ…!」
掠れた声でそう言ったその人は、微笑みながら涙を流した。
ユノは突っ立ったまま固まっている。
しかしブロードが彼女に向け笑みを見せると、何かが吹っ切れたかのように…
「…っ何ですかこれはあああ!」
…そう叫んで上司の胸ぐらを掴んだ。
ブロードはぐえっとか情けない声を出す。
「何で!何で何で何で!何でここにっ…」
「お、落ち着いてユノ…俺、死ぬ…っ」
「死ね!だいたい何でここにっ…、」
息切れしながらも怒鳴り散らすユノ。
そして彼女は病室の住人に目を向けると、途端に泣きそうな顔をした。
「なんで…なんでここに、母さんがいるんですか!?」


