「…じゃあ、どこ行くんですか?」
さっきまでうっざい態度だったくせに、…また蒼い目が優しい。
ユノはどさくさ紛れに彼の足を踏みつけようとしていた右足を引っ込めた。
「うん、着いてきて」
「……変なとこじゃないでしょうね」
「ダイジョブ!」
…何故に片言言葉。
危なくなったら直ぐ様こいつを置いて逃げよう、そう思いながらもユノは了承の印に頷いた。
「じゃ、行こう。こっちだよ」
「………はい」
颯爽と歩く彼の後ろにつく。
待合室を出るときの看護師さんの視線がかなり痛かったが、そこは冷めた彼女らしく無視を通した。
それよりも、この前を歩く上司が進む方向の方が気になる。
「……病室、行くんですか?」
「うん」
「…私、いない方がよくありません?」
ユノがそう言えば、ブロードはやんわり頭を横に振った。
目の前でさらさらな蒼色が揺れる。
それに思わず見とれていると、不意に彼の足が止まった。
「……ここだよ」
「ここ?誰の病室、」
見渡した時にふと見えたネームプレート。
そこに書かれた名前を見て、ユノは目を今度こそ全開で見張った。


