ブルービースト


「治療、頼むぞ。俺はすぐに戻る。俺の率いる部隊が心配だしな」


セリナをリシアにそっと渡しながら、大将は温かい笑顔を見せる。


「はい」


患者を見据え、医療品を出した少女はしっかりと返事をした。



「ハイリアは…」


「行きます」


「…言っても聞かないな。せめて応急措置してから来い」


敬礼する青年にオジサンは苦笑い。


無茶すんなよ、そう言うと颯爽とその場を去って行った。


オジサンのくせに変に爽やかだ。



そんな彼の背中を懐かしそうに見送ったあと、ハイリアはすっと隣の彼女に目を移す。




「……………………。」



真剣な表情で医療品をいじり、セリナを治療しているリシア。


女性が横たわるシーツは、真っ赤に染まって色が変わってしまっていた。



こういうとき、リシアに声をかけてはいけない。



人の命に関わる作業中に集中力を切らしてはいけないからだ。







「……ふぅっ、取れた!」



しばらくして、セリナから離れたリシアは溜め息をついてそう言った。


直ぐ様傷口を塞ぎにかかった少女を見ながら、ハイリアはほっと息をつく。