──…低い、そして暗い声。
いつもの彼のものとは思えないその声。
それに、ハイリアの胸に押し付けていた顔を少女は上げた。
「…軍人のよくある死因、それが今のリシアちゃんのだ。
自分の力を買い被って、油断してやられる。
そんな奴を大事な親友につけたくない」
きっぱりと言い切ったブロードの目は、恐ろしいくらいに冷たかった。
それに怯えたリシアは気付かないでいたのだ。
──…その蒼の瞳の先にある、深い優しさに。
──…その蒼の瞳が経験した、数多の死線に。
「リシアちゃんはこの特殊部隊で唯一の医療班なんだから。
…自分のやることに集中して。
ハイリアが怪我したら、治療してやってよ」
笑顔を戻しそう言うと、ブロードは武器を持って洞窟から出ていった。
何も言えないリシアはハイリアにくっついたままその背中を見送る。
「…リシア、わかった?ここから出ないでね、外は危ないから」
少女を静かに自分から離すと、ハイリアも愛用の銃を準備し立ち上がった。
朝食を食べ終えたセリナも、洞窟の外を見つめ軍服を羽織る。


