ソータの運転は穏やかでキライじゃなかった。
体があんまりガタガタ揺れない。


「俺、出会い系なんて使ったの初めてだったんだ。」


ぽつりぽつりと水の雫を垂らすように喋る。


「毎日イヤなことばっかでさ、うんざりで、イヤんなって。
でも死のうとか思えなくて。
それで出会い系にたまたま入って、単なる憂さ晴らしみたいな。

もう騙されてもいいとか思ってリツカにメールした。
それでリツカが来てくれたから充分。

そういうこと目当てでメールした訳じゃないから。」


一緒なんだ、って思った。
この人と似てるって思った。


「本当にいいの?」


「うん。」


「マフラーもらったのに?」


「うん。」


「ご飯も奢ってもらったのに?」


「うん。」


「アップルパイも食べたのに?」


「うん。」




「ありがとう・・・。」



聞こえないくらい、小さく呟いた。