口籠もっていたアロがゆっくりと口を開く。


「話すと、長くなるんだけど……」



いつものアロと違って優しい口調。


アロは私の目を見ようとはしないものの、わかりやすいように話してくれた。



「実は……僕らの中には2人存在するんだ」

「2人?」

「あぁ。今のような小さいときの僕と、大きい時のアイツ」



アロの言っていることを、すぐに信用するのは難しかった。

考えられなかったのだ。


自分の中にもう1人、誰かが存在するなど。



けれど、いつものアロのことをアイツと言ったり、現に、どちらのアロも見たわけだし、いつものアロは今、姿が見えないのだから、本当のことなのだろうけど。