「安心しろ。殺しはしない。ただ、少々血を頂くだけだ」


話している途中、アロナイヤの鋭い刃(やいば)が一瞬、顔を覗かせた。


「血を?……い、嫌よ!なんで私が!」



何で私が吸血鬼に血を与えなくちゃいけないの?



「少しでいいんだ。手荒な真似はしたくない」


「嫌だって言ってるでしょ!?」



口から出ている言葉と心の中で考えていることは違った。


物凄く怖いのに。

本当は物凄く恐ろしいのに。


あの鋭く尖った刃で噛み付かれたら

……なんて想像しただけでも震え上がる。