私は放課後、いつも途中まで奈津と一緒に下校していた。

いつものように校門を出て、左に曲がろうとしたとき、奈津が突然足を止めた。



「ごめん。今日ちょっと用事があるから」

「えっ。あ、うん。わかった」



そう言って奈津は
右に曲がった。


急用だったのか、奈津はすぐに走って行ってしまった。

けれど、途中で振り返って、私に向かって大きく手を振った。


いつもの、あの明るい笑顔で。



私も手を振り返し、自分の家の方向へ歩き出した。



そのとき突然、心臓が大きく脈打った。







夢の始まりは学校の帰り道。




突然薄暗い吸血鬼の世界に巻き込まれ






吸血鬼の姫に――