それよりも、何故私は気が付かなかったのだろうか。


考え事をしていて、いくら周りが見えなくなっていたとはいえ、急に辺りがこれほど真っ暗になれば普通は気が付くだろう。

振り返ってみても入り口は見当たらないし、知らぬ間に結構進んできたのだろう。


兎に角、今は此処を出なくては。


美由は踵を返し、来た道の方向を向いた。

前も後ろも風景が変わらず、本当に物騒だった。

今に何かが出てきてもおかしくはない雰囲気。



「待っていたぞ」



当たってほしくもない、そんな予想は見事的中し、背後から低い声が聞こえてきた。



私は突然聞こえてきた声に驚いて身体を硬直させた。




さっきまで誰もいなかった。


足音だって聞こえなかった。




美由は息を呑み、恐る恐る後ろを振り返った。