「優勝おめでとう。……じゃあね」


「……あ、あぁ」




私は歩き出した。


でもそのときはもう雨が弱まっていた。




自然と笑みが零れてしまう。



素直に嬉しいんだ。





一瞬でも私に向けてくれた視線。


偶然でも私に優しくしてくれた。



言いたかったことも言えた。





そして何より、傘を返すときにまた話せる。






嬉しくて、嬉しくて仕方がなかった。