「それじゃあね美由。また明日」



奈津は申し訳なさそうに言うと、学校を後にした。


水色の水玉がプリントされている可愛らしい傘を差して。




私は奈津の姿が見えなくなるのを見届けると、靴を履いて玄関を出た。




そして灰色の空を見上げた。


雨の止む気配が全く感じられなかった。





……まいったなぁ。




今、家にはアロしかいない。

アロに傘を持ってきてもらえばいいのかもしれないが、昨日のあの出来事があった後に、そんなことを頼めるわけもなく。



そもそも、アロは吸血鬼なのだから、本当は外出させるのも好ましくない。