かばん位、持って来ればよかったと後悔しても仕方がない。


ニートだったのだ、かばんを持つ必要もない、別にニートでなくとも、家の中でかばんを持つなどタイミングがよくないと無理だ。


(せめてノートとシャーペンはお気に入りを持って来たかった。紙の質を向上させる為に、ノート欲しいし……洋服も、持ってきたいし本に…ケータイも!パソコンだって欲しいし、使えないけど)


「彩…、ゆっくりふたりで話そう。何もしないから…」

白夜がふと下手に出るのを、不審に思う。


「はい…」

あんなに泣きそうな子供の顔をされたら頷くしかない、彩にだって良心はある。

ガラス張りのテラスにお茶を持って行き、座る陛下に差し出す。


真っ白なここに白夜が座り、お茶を飲む事のミスマッチさに笑う事もせず、反対に断りを入れて、座ろうとゆっくりしゃがむ。


あのゴージャスな衣装のまま、後ろには複雑な大きな帯がついており、座れずにモタモタしている。
白夜はもう、私服になっていた。


私服は、表にでる時より規定が緩い。

「クックククク…馬鹿だなぁ」

この娘は…仕方がない。
見ていて飽きない。
そんな表情を浮かべて、笑う白夜。



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