見るものには、まだ年若い王と王妃の思いあう仲まじい姿に見える。


繁栄の裏にある闇は深い――。


その闇に溶け込みつつある人間には…彩はただ邪魔なだけだ。


外宮を抜けて、輿にのる彩はバランスをとるのに精一杯だ。

「ゆ…れる…重い」

慣れない衣装と緊張そして、輿に揺られるという今までなかった体験で、酔いそうな彩に気付かれない様に魔法をかける白夜。


「あれ………?」

少し沈んだ笑顔が、満面の笑みで手を振る。
その姿に民衆はわく。


キョロキョロとせわしなく動く頭。
白夜はそんな彩を右に立て、膝の上に肘を乗せ怠そうに彩を見つめる。


花が次々に投げ込まれ、彩の髪に正確に刺さる赤い薔薇。


縁起の悪い色、そしてこの正確さは相当な腕だ。
ただ殺気はなく、探る様な視線が彩に絡みつく。



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